美容外科とはなんでしょう。現代の美容外科クリニックは実に多岐にわたる治療メニューを誇っていますから、一言で言い切るのは難しい。あえて言及するなら、人間の理想美を追求するところ、とでもなるでしょうか。で、人間の理想美というのは、健康的で、若々しく、バランスのとれた肉体を獲得することではないでしょうか。美容外科は基本的にこれらを「外科的治療」によって実現するところです。
もっとも近年は、メスを使わない治療、切らない治療である「プチ整形」が美容外科の本流のようになってきていますから、美容外科という言葉もカテゴリー的には変質しつつあるのかもしれませんね。「外科治療も出来る美容専門医院」とでも呼べばいいでしょうか。そういうわけで、やはり美容外科の定義は、理想美を追求するところ、というのが正しいかもしれません。
理想美とはトータルバランスです。肉体美、フェイシャルのルックス、どちらも大切ですが、様々な肉体コンプレックスによる精神的ストレスこそが、実は美容外科が最大の敵とするところかもしれません。とくに青少年期においては、こうしたコンプレックスが連鎖反応的に様々な悩みを生み出し、精神的不健康がついに肉体の健康を損なうまでになるということは、どなたも身に覚えのあるところではないでしょうか。こうした悩みをたちどころに解消してくれるのが、美容外科という存在です。
歴史的に見れば、美容外科は形成外科・皮膚科・婦人科などが合体して生まれてきた経緯があります。そこへさらに歯科・内科・耳鼻科・眼科などのノウハウも加わり、いまや総合医療の殿堂として、美容外科は医学界に屹立しているのです。近年は再生医療の最新成果を貪欲に取り込みつつ、未来の医療が美容外科で育っているのです。ただ、美容外科の根底には常に「美容」的要素、すなわち審美的治療という大前提があるわけです。
最近でこそ一般的外科治療はオペが丁寧になってきましたが、ちょっと前までは「命さえ助かればそれでよし」とする風が外科にはありました。傷痕が残る、などというのは外科では当たり前で、そうした手術痕をきれいにするのもまた、美容外科の重要な仕事だったのです。で、どうせなら「より理想的な」美に近づけていこう、というのが美容外科における審美的思想です。近年ではこれにさらに「自然な美しさ」という大テーマが加わっています。